建築物・コンクリート構造物保全

長期保全システム

ビル マンション長寿命化

建物は竣工後に定期的な調査・診断を行わなかった場合、劣化を促進させ、通常持っている寿命より短くなるのです

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定期点検により劣化部を早期発見しても、補修工事の選択が不適切になると、補修後一年も経たずに再劣化することがあります。それを頻繁に繰返すと補修の費用が膨大となり、手間もかかってしまいます。要するに、劣化に見合う補修を選定することが大事です。

 

  • 定期点検
  • カルテの作成
  • 補修工法の選定

長期保全システム

(1)コンクリート構造物の寿命

コンクリートが実用化されて、約100年程度しか経っていません。一般に、税法上定められている法定耐用年数は、住宅・学校で60年、事務所で65年、工場・倉庫で23~45年となっていますが、それは固定資産としての計算ベースであり、本来の建物の寿命ではありません。
では、いったいどのくらいでしょう。我が社からいうこととすれば、建物は人間と同寿命です。日本人は80歳まで生きられるとすれば、建物も80年ぐらいに長持ちができます。そのはずですが・・・・・住宅統計調査の住宅ストック更新周期を世界と比べると、日本は30年に過ぎません(建築雑誌2002年10月期による)

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(2)なぜ、今の建物は老朽化しやすくなる?

そんなことはありません。むしろ日本の建物だけかもしれません。建物を人間に例えると、人間は定期的に健康診断をしています。定期検査による病気の早期発見、身体を良好な状態に維持することによって長生きします。
一方、建物は竣工後に定期的な調査・診断を行わず、かかった病気(劣化)を放置し、病気の進行及び積み重ねにより、老朽化するのです。また、建物には免疫力及び自然治癒力は無いので老朽化が回復することはありません。

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(3)定期点検とは

一般に、ビル・マンションの場合、清掃の定期実施、設備の定期検査及びエレベーターの点検を行うことを定期点検といいます。確かに間違ってはいませんが、それだけでは建物の長寿命化は出来ません。ビル・マンションに求められているのはほとんど外観です。建物の外観を重視し、本来の保護性能を忘れがちになっています。
定期点検には設備等の点検とともに外壁、コンクリート躯体の劣化状況を把握しなければならないと考えています。

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以下の表に建物各部の点検及び修繕周期の目安、点検項目を示しています。

 

建物各部の点検及び修繕周期の目安

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部位 名称 点検周期(年) 修繕周期(年)
外壁 一般外壁
 (打放しコンクリート外壁・塗り仕上げ外壁・タイル仕上げ外壁など)
塔屋壁 廊下壁 ひさし鼻先 ひさし裏 階段裏 柱形 はり形 パラペット 軒鼻先 軒裏 バルコニー内壁 バルコニー鼻先 バルコニー軒裏 手すり上端 手すり壁
1~2 8~15
シーリング 窓まわり 垂直目地 水平目地 開口部まわり 1 8~14
鉄部ほか 階段手すり 手すり脚部 桶及び取付金具 バルコニー手すり 出入り口 換気扇 1 2~4
屋根及び
バルコニー床
屋根・露出アスファルト防水
 ・アスファルト防水 押さえ工法
 ・アスファルト防水 断熱工法
 ・その他防水層
バスコニー床
1~2 13~18
30
20
10~15
8~14
天井 モルタル塗り天井、コンクリート打放し天井、吹付塗装天井 1~2 14以内
8~12
モルタル塗り床、張り床、タイル張り床 1~2 10~15
10~20
25~35

 

点検項目

表面塗膜・塗材 ・変退色 ・光沢度低下 ・白亜化 ・汚れ ・ふくれ ・われ ・はがれ ・ふくれ、割れ、はがれの混在 ・摩擦
コンクリート ・剥落 ・ひび割れ ・浮き ・欠損 ・錆水の付着 ・汚れ ・エフロレッセンス ・ふくれ ・水濡れ
防水材・シーリング ・しわ ・変退色 ・ひび割れ ・白亜化 ・仕上げ材の浮き変色 ・漏水またはその痕跡 ・被着面からの剥離 ・材料の破断(口開き) ・被着体の破損 ・材料の変形 ・材料の軟化

 

建物にもカルテがあります

人間は健康診断を受ければ、検査結果を健康診断書に記録して渡されます。
次回の健康診断時にもその前の結果を参考することによって体の変化を時系列で把握することができます。これをカルテといいます。建物にもその必要性があり、定期点検の結果をカルテに記録し、累積していきます。カルテのデータを参考しながら点検を行うことにより、劣化予測が可能になります。そして、補修・改修の時期を計画し、手遅れになる前に対応できます。

カルテと修繕計画の関係

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相応しい補修・改修方法を選択

定期点検により劣化部を早期発見しても、補修工事の選択が不適切になると、補修後一年も経たずに再劣化することがあります。それを頻繁に繰返すと補修の費用が膨大となり、手間もかかってしまいます。要するに、劣化に見合う補修を選定することは大事です。

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